高8 塩澤千秋 (カナダ カルガリーから)      [塩澤さんへの質問や感想はこちらへ] cshio@shaw.ca

  先週の火曜日は気温が下がってマイナス15度になりました。急激な気温の降下のため翌日は綺麗な樹氷が出来ました。短い寿命ですが町中を銀世界に変えました。そのときの写真を添付いたします。前に同じようなのを送ったかもしれませんが、これは12月4日朝撮ったものです。でもまだ本格的な冬は来ていないようです。今年の正月は日本で過しますので暖かな冬となる事でしょう。
 (December 8, 2002)

 氷河をわたる風(19) One Flower Winter Green (Woodnymph)

 

  この長たらしい名前をもつ花は草丈10cm、花の大きさ1cm位の可愛い花です。アラスカからアルバーターロッキー山の低い岡から3000m以下の山に広く咲きます。読書のためのランプのように見えませんか。直射日光の当たらない木陰に咲きます。踊りつかれた妖精が地面に寝転がって氷河の風に涼みながら、本でも読むのでしょうか。Woodnymphという別名を持っています。Sentinel Passからの帰りみち林の中で見つけました。カナナスキスでも見た事がありますがそれは名前が示す通り茎がもっと緑でした。松の木の下でもう少し日光が強かったためでしょうか。見つけた時思わず地面に這いつくばって明かりが点灯しているかどうか確かめたほどでした。
 インディアンはお茶にしたり薬に使ったようです。こんな目的には一寸小さすぎて直ぐになくなってしまいそうです。

写真1、Woodnymphの横顔です。傘がむいている地面がなんとなく明るいように見えませんか。
     Sentinel Passからの帰りMoraine Lakeに近い森の中で見つけました。(1999年8月3日撮影)

写真2、正面から見ました。花弁がランプを灯したように明るく見えます。横顔とは一寸印象が違います。
     写真1と同じ所で撮りました。(1999年8月3日撮影)

夏02 カルガリー空港
空港でのスケッチ
(2) 日本人は嫌いよ

 「日本人は嫌いよ」これがバイト先から帰ってきた娘のセリフである。あちらの国こちらの国と渡り歩く父親の仕事の関係で、イスラエルで生まれアメリカ、カナダで育ちました。アルバイト先では英語と日本語の両方が出来るので大変重宝がられています。自分では日本人ではなくカナダ人であると信じているようです。しかし、国籍はれっきとした日本人であり日本人一世の両親のもとで育ちました。
 何故日本人が嫌いかと問うと店にお客さんとしてやって来る日本人のマナーが他の国の人達に比べて明らかに違うと言うのです。  他の国の人達がカウンターで行儀よく順番を待って並んでいるのに、その人達を押し退けて「時間が無いから早くして」と威張るのは日本人だけ。空港のこうした土産店では急ぐ条件は皆同じです。ただそれなら買うなと言えないのが売る側の弱みでもあります。アルバイトの初日、帰ってきての質問が「まけてくれって何のミーン(意味)」「お店では売るほうが勝っているの」ときたものです。「勉強して」って言われたけれどお店で「何を勉強する」のか、と言うのが娘の疑問でした。この日日本人観光客の殆どが口して、カナダ育ちの娘が理解できなかった日本語でありました。逆に、英語にもこのような単語をそのまま理解しようとしたら意味のわからない言い回しが多くあり我々も大変困らせることです。
 夏のシーズン日本人旅行者の数は日に日に増加の一途を辿っていきます。たまに今日は良い団体であったと喜んで帰ってくる日もありますが、殆どの日、一つか二つ憤慨の種を拾って来ます。先に話した日本語での説明でえらい災難を受けた二三週間後のある日、再び猛烈に憤慨して帰ってきました。また日本人の異種性を見つけたなと興味津々で聞きました。一人の「オジン」がカウンターでがんばってその団体全員に割引することを強いたと言うのです。こうした人達に接している間に「オジン」「オバタリアン」などと言う言葉もいつのまにか身に付いてきたようです。
 それはさて置き、中年の団体が店に雪崩れ込んで来ました。姦しく品物をあさります。殆どが小物です。小物の場合割引はありません。ところが一人の「オジン」が小物を手にカウンターにやって来ました。  そして十パーセントの割引をしてくれと言うのです。他の店ではそうしてくれたとがんばります。商売時の忙しいカウンターを占拠されるのが迷惑でつい根負けしておまけしました。所がである、このオジンずっとカウンターにがんばって、次から次へと小物を抱えてやってくるオジン、オバンのためにこの人も同じグループでありますあの人もそうですと、二十人程の小物の買い物を全てまけさせたと言うのでした。売る方にしたら一人に割引してしまえば他の人を拒む訳には行かず、実に迷惑なお節介であったのです。カウンターに居た娘はついに我慢しきれず、まどろっこしい日本語をやめて「この品物はまけられないのです」と英語でやってみました。ところが誰も理解せず諦めるより仕方なかったとがっくりと肩を落しました。
 その団体が去った後店員全員ががっくりと疲れを感じ文句を並べてみたが甲斐なきことであったそうです。そのオジンは団体の責任者でも引率者ででもなかったらしい。しかしながら、大変努力して自分の属する団体のメンバーに「安い」買い物をさせて英雄となったのであります。

写真1、Engel Glacier. Jasperの近くMount Edith Cavellの中腹に掛かる美しい氷河です。天使が羽を広げているようでしょう。
     山の名前は第一次世界大戦のときドイツ軍の捕虜であった連合軍兵士の脱走を助けて銃殺されたベルギーの看護婦の
     名誉を讃えて付けられました。(2000年9月12日撮影)

写真2、Columbia Ice fieldの近く、氷河をべったりとつけたMount Athabascaを西側から撮りました。
     一寸角度を変えてみると山の顔も違って見えます。(2000年9月12日撮影)