県外の友人から、「古い映画を観ていたら、飯田が出てきたよ」との連絡。
「映画の中で、セリフだけですが、飯田藩城代家老 安富主計(かずえ)の言葉が出てきました。
藤子と言う侍女が、城代家老の命を受けて殿様の愛妾を殺し・・・」との事。

彼が来飯した折、長姫のエドヒガンをご案内。
ここは飯田藩家老 安富家の庭だった事から「安富桜」との名で親しまれています。と紹介していたのでした。


藤子とは、校歌 幻の三番の山口阿藤ではありませんか。

>侫諛(ねいゆ)の俗(ぞく)を退(しりぞ)けて 血ある女(おみな)と謳(うた)はれし
山口阿藤その人も 亦この中(うち)に育ちたり

それが映画に出ていたとは知りませんでした。
映画は、市川雷蔵主演の「斬る」 原作:柴田錬三郎  監督:三隈研次
予告編です>「斬る」 藤子を演じているのは、藤村志保です。
市川雷蔵:主演   原作:柴田錬三郎 と言えば眠狂四郎シリ-ズが有名ですね。
ではこの映画の原作は・・・剣豪小説「梅一枝(うめいっし)」と分かりました。短編です。

市川雷蔵の役どころは・・・なんとなんと藤子の息子、忘れ形見なのです。これはどういう事か?
そこは小説ですから、フィクション。史実と違うではないか、等と目くじらを立てないでくださいね。

殿の愛妾「若松」を刺殺した藤子は、江戸から飯田へ護送されます。家老安富は、他藩から来客として来ていた剣豪に藤子の救出を依頼。更に1年間潜んで暮らし、子供を作るように。家老の思惑は、1年もすれば殿の怒りも和らぐのでは。更に子が居るともなれば、死罪などにはしないのでは。

事は依頼通りに進んだのですが殿の怒りは治まらず、藤子は打ち首に。命じられた藩士は皆尻込み。結局、救出した剣豪がその役目を。遺児は小諸藩の家臣の元で、養子として育てられます。

映画はこれからが本番。成長した遺児「信吾」が剣豪として活躍。その生涯を市川雷蔵が演じています。原作のタイトル「梅一枝」は、会得した必殺技から来ています。あまり書いてしまうとネタバレになるのでこの辺迄にしておきますね。

では改めて山口阿藤の墓参りに。お墓は箕瀬の長源寺にあります。

参道入り口に、案内板と碑があります。

お墓は、一般の墓地とは別の特別な所にあります。

ここで墓碑銘に注目。案内板の元にある碑は墓なのでしょうか?山口不二子の墓とあります。奥の方は一真院不二妙松大姉とあります。

ここで疑問。阿藤は藤なのか、藤子なのか、はたまた不二なのか、不二子なのか?本名はどれ?藤は墓にないので、「不二子」が本名なのでは!

不二子と言えば、ルパン3世の「峰 不二子」を思い起こす。不二子と書くのも珍しい。もしかしたら作者の「モンキー・パンチ」は、山口不二子からその名のヒントを得たのでは? 考え過ぎかな?

映画は、アマゾンで見られます>プライムビデオ
無料体験もあります。但し期限が切れると有料となり請求が来るので要注意。

原作本は絶版になっています。中古を探したのですがプレミアがついて高額になっていました。こうなれば図書館ですね。私は飯田図書館で借りました。短編集で、タイトル以外の剣豪小説もなかなか面白い。

(高18回 高田)