移り変わり
  先日、ある会合に出された文章に、「畑の土がほけている」という一節があった。「ほけている」は、当地方の方言だから、何か違う表現はないかと尋ねると、それにあたるふさわしい言葉はないと言い張られて困惑した。
 私は、さつま芋や馬鈴薯は、「ほけている」ものがおいしいと言いながら、食べた昔を思い出した。
 翌日、遠くに風越山を望む畑に出て見ると、馬鈴薯の花やネギ坊主の下の土は、初夏の太陽に照らされ、すっかり乾いてふんわりしている(ほけている)。
 振り向くと、いつの間にか、どの水田も田植えが終り、赤石山脈も白い衣を脱いで、夏の姿になっていた。(原)

田舎暮らしの奨め
 仕事柄、新築されているお施主さんとお話する機会がありますが、ここんとこ都会から移って来られる方が多いように感じられます。I&Uターンではなく、全く飯伊に住んだ経験のない方が、退職後にこちらに住居を構えるかたちなんです。理由をお聞きすれば、空気がきれい、水や食べ物が美味しい、景観が良い等々、予想通り都会の方の一般的な田舎への憧れが見受けられますが、最終的に飯田を選んだの理由が、親切で温和な人々とのんびりした風土とお聞きし、ここに住む者にとって一寸嬉しい気もします。
 が、お客様には非常に親切でも、いざ住むとなると一寸排他的なところがあるのではないか、地域の付き合いが多すぎるのではないかと気になります。
 都会に比べ地価が安いので、家屋にはお金を掛けたログハウス的あるいはモダンなものが多いですね。景観が良い所を選ぶ為一寸高台を好まれるようですが、冬場の雪や凍結に慣れるまでお気をつけ下さい。(西尾)

私の余暇利用
 私の住んでいる竜丘地区も、他の地区と同様、今が夜間ソフトボールと早起き野球のシーズンたけなわと言ったところです。
 夜間ソフトは、8チームありますが、それぞれ仕事関係の仲間、同年齢の仲間、飲み屋の常連、同じ地籍の仲間が集まって、和気あいあいとやっています。
 試合は夜7時30分開始で、7イニングまたは時間制限で、9時前には終了となります。各チームとも20名近く選手登録をしていますが、実際に試合に出てくるのは、10名前後といったチームも多く、不戦敗になると2,000円の罰金を取られます。
 試合終了後は、勝っても負けても慰労会となりますが、試合よりも慰労会目当てで参加する人も多く、10時30分過ぎまで、いろいろな話題で盛り上がっています。 参加しているメンバーは、20歳から60歳までと言ったところです。
 早起き野球は、現在6チームです。以前は10チーム程ありましたが、若者の生活時間帯が夜型化した事により、高齢化が進んだためにチーム数も減ってしまいました。夜間ソフトよりも早起き野球の方が、選手の平均年齢は明らかに高いです。
 試合開始が5時30分と早いため、4時30分には起きないと、体が動きません。日の出の時間にレフトフライが上がると、ボールが見えなくなり、エラーをする事もしょっちゅうです。試合は、だいたい7時前には終了するようになっています。それ以上やっていると仕事に差し支えますから。
 夜間ソフトでは同じチームでも、早起き野球になると敵味方に分かれているケースもけっこうあります。夜間ソフトも早起き野球も、総当りで2回ずつ戦って、シーズン終了となります。(高橋)

野や山の味覚
 おこぎ(ウコギ)やタラの芽、コゴミ、ワラビなどは山菜の定番で、どちらの家庭でも、4月から5月の食卓には、一度や二度は顔を出したに違いないと思うが、山菜の宝庫ともいうべきこの伊那谷、まだまだ食用となる植物で溢れている。今は丁度、”ハチコ(はちく:淡竹)”が旬で、柔らかくてアクも無いこのタケノコは、”おみおつけ”の具としても最高だ。
 先日もある法事の席で、運ばれる料理に箸を付けながらの俄調理師が登場し、”アカシヤの花の天ぷら”が旨かったとか、天ぷらなら”桑の葉”や”柿の葉”もいい、とか、”モミジの落ち葉”は唐揚げにすると煎餅のようだ・・などと自慢の料理(?)が次々と登場した。
 考えてみれば、余ほどの毒でも無い限り、植物の類は全て食することが出来のであろうし、戦中・戦後の食糧難の時代には、それこそありとあらゆる植物が飢えを凌ぐ対象であったとよく聞かされて来た。
 そんな経験はこれから先も御免被るが、この時季、野や山の豊かな味覚に舌鼓を打てるのは、”伊那谷に居てこそ”と自慢することのひとつだ。(槙原)