賀 正(ヘビの思い出)
 申し訳ないが、生まれつきヘビは苦手だ。ヘビばかりでなく、トカゲもウナギもメメズも、長いものはどうか好きになれない。
 今に比べて、子どものころはヘビが沢山おった。山道に昼寝をしているヘビを木の根と間違えて踏みつけ、足首に巻きつかれた感触がまだ忘れられない。今でも、枯れ枝を踏んでヘビと間違え、跳び上がるほどびっくりすることがある。
 そのころは、ヘビが怖くない子どもでないと、ガキ大将にはなれなかった。石垣の割れ目に逃げ込もうと、必死になっているいるヤツのしっぽを手に巻いて、ちぎれんばかりに引っ張り出したり、尾の先を持ってぶんぶん振り回して、ハンマー投げのように遠くへ飛ばしたりもした。
 木の枝に垂らして、皮をむいて料理しちゃうすごい子もおった。白い骨と肉だけになってもまだ動いているのを、恐るおそる遠くから眺めていた思い出がある。
 ヘビさん、ごめんなさい。(原)

消費者の利益
 12月は大手郊外店が2店オープンしました。11月も1店オープンし、ここんとこ開店ラッシュです。全国の他の都市同様、飯伊地方も10数年前から多くの大型郊外店が進出してきて、旧商店街の地盤沈下は歴然としています。
 一般的に大型店の進出は、価格競争によるディスカウントや、アイテム数が豊富なので一ヶ所で購入できる等、消費者にとっては利益をもたらされるといって歓迎されます。でも本当にそうなのか、違う観点からも見なければなりません。
 例外もあるかもしれませんが、出店による雇用数より廃業による失業数の方が多いようです。また郊外型の為、開店前に給排水その他のインフラ整備に地元の税金が使われます。地域全体の消費量はさほど変わらないでしょうから、他地区本社の大型店出店前に地元に入っていた法人及びそこで働く個人の地方税は、一般的には地元住在従業員雇用数は減る傾向にあり、また地元従業員数のその会社全体での比率は小さいことから配分は小さくなり、結果開店後地元全体での税金は減少してしまいます。また、上手くいかなければ直ぐ撤退してしまい、原状回復なら良いのですが、跡地がそのまま廃墟になることもしばしばです。
 私自身よく利用しながらも、地域全体としてその商圏に在住の消費者に利益があるのか、時々考えさせられます。(西尾)

2000年の思い出
 12月25日になると、クリスマスのツリーやリースであふれていた店頭が、門松や鏡餅にあっという間に入れ替わっていました。いよいよ2000年も終わります。
 皆さんの今年の思い出ナンバーワンはどんな事ですか。私のは、バスに乗っての大失敗でした。
 子供3人を連れて市民プールに行った帰りのことです。近頃はめったに利用することのないバスに乗ってみるのも夏休みのいい思い出になるに違いないと、1駅だけ乗車してみることにしました。整理券を取って座ったところまでは良かったのですが、降車を知らせるボタンが見当たりません。私が知っている限りそのボタンは窓枠の近く、手を少し上に伸ばすようにして押す位置にあったはずなのに、そこにないのです。焦って探しているうちにバスは降りる予定の停留所を過ぎてしまいました。次の停留所でボタンを押した人を見ると、そのボタンはなんと座席に腰掛けたちょうどその腰のあたりにあったのです。もうびっくり。
 歩けば5分足らずで家に着けたのに、バスに乗って一駅乗りすごしたために30分は歩くはめになってしまいました。バスで戻ろうにもそこは皆さんご存知の飯田の路線バス。1時間以上待たなくてはなりません。たまたま通りかかった知人が車で送ってくれたので、子供たちから文句は出ませんでしたが、「お母さんはバスのボタンもわからんの?」と、おおいに馬鹿にされてしまいました。自分でも、なんだかとってもがっかりした出来事でした。
 来年は蛇年。干支の置物を家の南側に、顔が家の中心に向くように置くといいそうですよ。良い年になるといいですね。(塩澤)

世紀の節目に
 既に20年以上も前の話だが、職場での研修(慰安?)旅行のバスの中のことであったと思う。どういうきっかけだったかの記憶は定かでないが、四方山話の中で、”21世紀はどんな時代になるだろうか”とか”高速道は、新幹線は・・”といった話題から転じて、”世の中から消えてなくなってしまうものにはどんなものが考えられるか?”と、そんなテーマで盛り上がったことがあった。
 主として、既に使われることもなくなった道具や機械類、または生活システム、習慣の変化などについて、興に乗るに従ってそれぞれ好き勝手な持論を展開したことだったが、いよいよその21世紀を現実とする時が来た。
 IT革命に象徴される新時代を迎えるわりには、例えばテレビや新聞の”20世紀最大の発見や発明は?”とか”最もヒットしたものは?”などの番組や特集も、意外と静かにこの歴史的な節目の通過を傍観しているように見える。
 折角、この大きな歴史の転換点に遭遇したのだから、身の回りの変化や地域社会の変貌、更には価値観や心の有り様の変わり方などについても、来し方をゆっくり振り返ってみることが必要ではなかろうかと思う。その上で、ふるさとの21世紀、新しい時代に思いを馳せてみたい。(槙原)