劇団・演劇宿による「夢・大江磯吉の」 3年ぶりの公演
 平成14年頃だったか、いよいよ我が家の“墓守”に、信州へ帰ることにしようかと考えていたころ、飯田の知人から、島崎藤村の「破戒」のモデルになったと言われている大江磯吉という教育者が明治の初期にいて、その人は飯田中学出身だったので、その胸像を建立しようとしているという話を聞いた。それまでは大江磯吉という名前も知らなかった。
 その後、信州へ転居した年の暮れ、平成16年12月12日に、飯田文化会館で劇団・演劇宿(小澤廣人代表・高17)による「夢・大江磯吉の」という劇の公演を観る機会を得た。そして、その時初めて、大江磯吉なる教育者の偉大さを知ったのである。
 公演のチラシになどの資料によれば、確かに、大江磯吉は「破戒」のモデルといわれているが、それ以上に、当時、日清戦争に勝利し国家主義的な思想が社会を、また教育界を覆い始めていた中で、ヒューマニズムと自由を基礎とし、子供たちの自発性を育む開発主義教育を実践し推し進めた優れた教育者であり、今の社会でも求められている人であったという。
 今回は2月16日(土)、17日(日)の二日間、3年ぶりに、前回と同じ劇団「演劇宿」による公演が飯田文化会館で行われる。
 (写真は公演のチラシと、有志によって飯田市下殿岡の円通寺に建立された大江磯吉の胸像(平成15年10月7日建立)と少し離れた風越山を望む墓地にある墓。)
 

(原 健彦)

 

もう成人式?
 今年の成人式は終ったばかりである。
 来年成人式を迎える長女宛に、「レンタル衣裳屋」からダイレクト・メールが届いたり、電話がかかり始めたのは、おそらく昨年の10月頃だったと思う。
 今年に入ってからも、「新作振袖展開催中!」とか「成人式を迎える貴女へ!」などと銘打ったイベントを知らせる封書やはがきが届いている。
 東京に住む知人は、「1月中にご来店いただければ、成人式当日のヘアメイクと着付けをサービス致します」という甘い言葉に釣られて、レンタル契約をしたとの事。2月末には、19万円の請求書が届くらしい。
 その着物は、5月に写真撮影(前撮り)を行った後は成人式当日まで自宅に置いておく事が出来るというレンタル契約になっており、その間何度着ようと自由なので、それまでに姉を結婚させちまおうとか、弟にさせようとか、ついには祖母を結婚させちゃおうとか、とにかく振袖を利用する案をいくつか考え出したらしいのだが、すべてボツになったらしい。
 ウチの長女は、いったい何を着るのだろうか?ヨメのお姉さん(長女にとっては伯母)が持っている振袖があって、それを見せたんだが、どうも気に入らなかったらしい。
 何を着る事になろうと、気に入ったモノ以外は手に取らない長女。ひと悶着ありそうである。

 さて、今月のオススメは「蒼穹の昴」全4巻(浅田次郎 著 講談社文庫)。直木賞受賞作の「鉄道員(ぽっぽや)」しか読んだ事がなかったが、これは「鉄道員」を凌ぐ力作かも・・・。
 清朝末期の中国が舞台になっています。西太后ってこんな人だったの?って思いました。
 (写真は2月2日の午後撮影した風越山と2月3日の朝撮影した自宅から見た天竜川東岸)

(高橋 秀治)

 

 
  

「母べえ」
 2008年1月26日ロードショー山田洋次監督・吉永小百合主演「母べえ」が公開された。
  昭和15年の東京 野上家を舞台に幸せな暮らしに、戦争と言う悲劇がもたらす人間社会。反戦を唱える夫が、検挙され、廻りに支えられながら、親子の絆と、母の愛を描いた作品。
 今回これを取り上げたのは、2つの理由がある。その1つは、「母ちゃん」「父ちゃん」「兄ちゃん」「姉ちゃん」と呼んでいた頃の終戦後の私、ダブって、悲しい時、うれしい時の母の手のぬくもりを思い出しながら・・・。
 もう1つは、ドラマに使われた小学校は、何と 今は廃校の飯田市山本杵原 山本中学校である。木造平屋の学校で、今では地域振興に利用されている。尚且つ 小学生エキストラは、山本小学校と松尾小学校の皆さんであることだ。
 もう1つ付け加えれば、小百合リストだから。私の母もよく着物を着ていたが、割烹着も手もごつかった。今のように、スイッチ一つで、何もかも出来る時代で無いから、本当に 動きづめの、温かい母と強い母を思い出す。
 (写真は今年1番の大雪、旧山本中学校、近くに寄ると、かなり痛んでいます)

(斎藤 純)

 

 

映画「母べえ」


 昭和15年2月のある夜、東京に暮らす野上家では、夫の滋と妻の佳代、しっかり者の長女・初子と天真爛漫な次女・照美が笑いの絶えない楽しい夕食を囲んでいた。まさかそれが、家族揃った最後の晩餐になるとも知らずに。翌朝、ドイツ文学者である滋が治安維持法違反で検挙されてしまう。そして昭和16年、野上家は初めて滋のいない正月を迎える。太平洋戦争の波に巻き込まれながら、それでも佳代は希望を捨てず、ひたすら滋の帰りを待っていた…。昭和を生き抜いた一人の母を通して描く、家族愛の物語。(松竹、「母べえ」製作委員会資料より抜粋)・・・と、これは去る1月26日、全国一斉に封切りとなった、山田洋次監督、吉永小百合主演の映画「母べえ」のあらすじである。
 飯田の映画館でも、久し振りにこの26日の公開と同時に、チケットを求めて並ぶ人が出る関心の高さであったという。(画像は、地元「信州日報」の記事)
 というのもこの映画、飯田ロケが山本や松尾で行われ、地元の小学生などもエキストラで出演しているもので、確か一昨年であったと思うが、飯田でのロケを巡って結構話題となっていたからである。特に、子どもや孫がスクリーンに現れるとなれば、家族揃って久し振りに映画館へという方々も多いことだろう。
 先日もある知人から、「丸坊主になってエキストラに立候補した孫を、眼を凝らして見つけるのを楽しみにしている」という電話を貰ったところであった。ストーリーも出演者も話題の作品、増して、この故郷にゆかりの映画となれば、是非、一度は見てみたいものと思う。

(槙原 英勝)