早春の土手にて
 2月末、目をこらせばそこに春がありました。まだ朝晩は厳しい寒さが続き、数日前には10cm以上の積雪があったばかりなのです。それなのに、小さな葉を繁らせて、彼らは今年も春を告げる薄紫の花を咲かせていました。
 オオイヌノフグリが土手や道端に咲くのを見ると、なんだか嬉しくなってしまうのは私だけではないでしょう。この写真を撮り終えて、思わず土手に寝ころんでしまいました。春の土手は、ふかふかで思いのほか温かく、やさしい布団のようで好きです。
 土手なんて見つからない・・・と思い込んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。都会暮らしの方々には、実際、縁遠い存在になってしまっているのかもしれません。
 けれど伊那谷でなくとも、全国のどんな場所にも土手はまだたくさん存在すると思います。川原の堤防に、学校のグランド脇に、公園の片隅に・・・。早春の土手に久しぶりに寝ころんでみてはいかがでしょう。そして、春の息吹を思いきり深呼吸してみてください。きっと、あの日と同じ懐かしい匂いがしますから。
 (写真は、飯田市宮ノ上自宅近くの土手にて。オオイヌノフグリの向こうにぼやけている山は、風越と虚空蔵です。)

(佐々木公美子)

“スギ花粉症”に思う
 嘗てそれらしい症状は元より予兆さえないので、他人ごとと傍観すると共に、「田舎育ちで良かった」とか「都会の人は柔だな」位に冷ややかに観てきた“花粉症”が、極めて深刻な時期がやってきた。
 花粉症と一口に言ってもその原因は様々な草木の花粉飛散にあるようだが、中でもこの時期のスギ花粉によるアレルギーが最も多いという。先日何気なく聞いていたラジオ番組の中で、国民の15~20%が花粉症に被り、その内の6、7割がスギ花粉らしいとのことであったから、全国ではこの時期に、ざっと1,000万人以上が苦しんでおられることになる。将に、国民的な医療、健康の問題と言っても過言でない。
 勿論、地方によっても差異はあるようでスギの有無が決め手となるが、この伊那谷も杉林は少なくないので当然花粉の飛散も多いはず。因みに、先の飯田保健所の発表でも、この2月、過去二番目の飛散量(103.8個/cm2)を測定したとあった。
 自然には抗し難いし、また、この豊かな自然環境は将来共に守り育んで行って欲しいが、一方、それが原因で苦んでおられる方々に思いをすると、複雑な課題ではある。

(槙原英勝)

国語辞典の最後の語を知っていますか?
 それは「んとす」(むとす)です。用例として「新しき時代の幕、明かんとす」など。
 さて、飯田市には、自発的に地域づくりをせむとする団体を表彰・支援するために、「ムトス飯田賞」授与の制度があります。この事業は83年に始まり、昨年は国に認められ総務大臣表彰も受けています。
 本年度の「第18回ムトス飯田賞」は、わが上郷下黒田の黒田人形保存会(櫻井英夫会長)と、ひさかた風土舎に与えられました。
 櫻井会長は「飯田市の人形劇のまちづくりの充実や、下黒田が飯田の憩いの森となるよう努めたい」と語っています。
 (写真は黒田人形。)(原 博司)

食いしん坊編 (No.12)
 昔は「外食」といえば、和食、中華料理、洋食(せいぜいフランス料理かイタリア料理の一部)、韓国料理(焼肉程度)というのが飯田では一般的でした。近年ファミリーレストランの進出に伴い、もう一寸アイテム数が増えて細分化された呼称が使われてきましたが、内容は日本人の料理人が作った「モドキ」が多いのも事実でした。
 しかしここ数年で、韓国・インド・トルコなど、飯田にもその国の方が作られる本場の味を提供する店が出てきました。今まで都会でしか味わえなかった料理に舌鼓を打つ楽しさは、食いしん坊にはたまりません。ただ、メニューを見てもどんなものなのか見当がつかないのが難点。店の方に聞いても片言の日本語で結局理解できず、エイやで適当にチャレンジしています。でもまあ何が出て来るのかわくわくして、それも楽しいんですよ。こんなことも外国籍の方の来飯が増えたからでしょうか。
 付け加えておきますが、今までのレストランも「モドキ」は少なくなって、本格的なのも多くなっています。これまた嬉しいですね。
 こんな話をしていたら、口の中が唾液で一杯になってきました。まとめが汚くなってすみません。

(西尾秀文)

アンサンブルコンテスト
 (社)全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催する第26回全日本アンサンブルコンテストが来たる3月21日(金・祝)に長野県県民文化会館で開催され、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から代表が集まります。
 開演は9時30分で、高校の部22編成、一般の部11編成、中学の部22編成、大学の部11編成、職場の部9編成の順に演奏が行われ、最後のチームが演奏を開始するのは17時46分の予定です。
 長野県の場合、高校は4つの地区に分けられ、飯田高校は、昨年12月15日に辰野町民会館で開催された第三地区大会(60編成出場)に4編成を送り、サクソフォン5重奏1編成が、他の14編成とともに地区代表に選ばれました。
 1月18日に駒ヶ根市文化会館で開催された県大会(48編成出場)では、5編成が県代表に選ばれましたが、飯伊地区から選ばれたのは飯田風越高校の打楽器5重奏1編成のみで、飯田高校は惜しくも銀賞でした。
 東海支部大会(26編成出場)は、2月16日に愛知県幸田町民会館で開催され、松本蟻ヶ崎高校のサクソフォン4重奏1編成を含む(たったの)2編成が支部代表に選ばれました。
 全国大会出場への道はこのように険しいものですが、飯伊地区からも県民文化会館のステージに立つチームが一つだけ存在します。一般の部の1番目(11時43分頃)に演奏するアンサンブル・ファンファールの金管8重奏です。
 高いレベルの演奏を聴けるのが今から楽しみです。
  

(高橋秀治)