去る、6月28日 第4回在京飯田高校同窓会同窓生セミナーが開催されました。 直前、荒天が心配されましたが、無事、総勢72名が、新宿歴史博物館に参集しました。
全体テーマ
「科学者たちが読み解く地球のミステリー」
組織部会長 小澤純子さん(高43回)の巧妙なナビゲートのもと
石田瑞穂先生(高14回)、菅沼悠介先生(高47回)による貴重なお話の中から、少しばかりですがご報告させて頂きます。
1. 石田瑞穂(いしだ みずほ)先生〜日本屈指の地震学者であり、元日本地震学会会長
テーマ「首都圏における地震活動の多様性を研究した日々」
石田瑞穂先生の講演は、最新データを用いた、首都圏直下の新しいプレートモデルがメインテーマでした。 先生はご自身の1992年のモデルを根本から見直し、微小地震のデータや地震波の「押し・引き」の力を立体的に解析されました。これによりフィリピン海プレートの正確な上面を導き出し、1923年の関東大震災の地殻変動データと完璧に一致する新モデルを提示されました。これは将来の東海地震などの想定にも繋がる画期的な成果です。質疑応答で飯田周辺は直下型地震のリスクが低い」(避難するな
ら飯田へ〜)という安心材料や、「日本中どこでも、地震リスクはあるため、家具を壁に固定し下敷きにならないことが最重要」という現実的な備えを指南頂きました。さらに、「時間が余っていたから」大学院へ進み、偶然地震学を選んだという意外な経歴や、同期14回のご友人から、高校時代のご様子も明かされました。最先端の壮大な研究成果と、それでいて、飾らないチャーミングなお人柄の両方に触れられる、大変魅力的な講演でした。
2. 菅沼 悠介(すがぬま ゆうすけ)先生〜
国立極地研究所および総合研究大学院大学の教授。「チバニアン」の名付け親
テーマ「南極氷床の融解と海面上昇」
菅沼悠介先生の講演は、現在の地球はCO2濃度が約430ppmという過去100万年で未曾有の事態にあり、特異な気温上昇が続いており、それに伴い、海面上昇の主因も「陸上の氷の融解」へと移行しているそうです。
海に浮く「海氷」ではなく、陸上にある「氷床」が海へ流れ込むことが海面上昇を引き起こします。特に南極では、海に張り出した「棚氷」が下層の温かい深層水によって底面から溶かされて崩壊し、背後の陸の氷が次々と海へ流出する事態が起きています。最も警戒すべきは「ティッピング・カスケード」と呼ばれる現象です。大量の淡水の流入によって海水の上下循環が止まり、温かい海水が連鎖的に氷を溶かし続ける悪循環が生じます。地球の熱や栄養を運ぶ「海洋大循環」が停止する恐れもあり、数百年先の人類の生存戦略を左右する極めて重大な課題であると提起されました。 また、大量の真水が海に流れ込むと、地球規模の海水をぐるぐる回している「海洋循環」という巨大な心臓部が止まってしまうそうです。もしもそうなれば、世界中の気候が大変動し、漁業も農業も壊滅的なダメージを受けてしまうという衝撃的なお話もありました。
お二人の講演を通し、地球の地面で起きていること、そして、地球空間の未来を大切に考えるきっかけを頂きました。
ご参加頂いたすべての皆様、ご協力、お手伝い頂いた同窓生の皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
来年も、お楽しみに!
写真・山内秀文 (高40)
報告・組織部会 原 直子(高40)